投稿日:2022年4月11日 | 最終更新日:2022年4月25日
マイナンバーカードはお持ちでしょうか?
評判が良いとはいえないマイナンバーカードですが、小さな会社を設立・運営していく上では、意外と役に立ちます。
法人設立ワンストップサービスを利用するためだけでも、用意する価値があるくらいです。
その後の税や保険、登記などの行政手続についても、マイナンバーカードを持っているとほとんどオンラインですみます(マイナンバーカードがなくてもできる手続も増えていますが、重要な手続は、カードがないとできないものもあります)。
また、個人事業主になるなら、必須アイテムです。
なぜなら、個人事業主の所得税について65万円の青色申告特別控除を受けるには、e-Taxによる電子申告か、電子帳簿保存を行う必要があるからです。この内、手軽にできるのはe-Taxによる電子申告で、e-Taxによる電子申告にはマイナンバーカード(より正しくは、マイナンバーカードの電子証明書機能)が必要なので、マイナンバーカードを取得しなければならないのです。
主義主張的にどうしてもマイナンバーカードを作りたくない方以外は、できるだけ早く作っておきましょう。
マイナンバーカードのセキュリティが気になる方へ

「マイナンバーカードで個人情報が紐付けられるのが心配だ」、「カードを作って個人情報漏洩のリスクが上がるのが心配だ」と思われる方、ご安心ください。マイナンバーカードがあってもなくても、個人情報は紐付けられていますし、個人情報漏洩のリスクも(通常の使用では)上がりません。
「いい加減な事をいうな!」と思われるかもしれませんが、私は以前、マイナンバーによる情報連携をはじめる時期に、マイナンバーを扱う地方自治体の情報システム運用をしていました。
ですので、情報連携の準備作業にも関わっていましたし、国の説明会等にも出席し、国の担当の方とシステム構築にかかるやりとりもしていました。いわゆる「中の人」の末端の一人だったので、このあたりのことは、それなりに知っています。
個人情報を紐付けられることが心外な方にとっては悲しいお知らせですが、情報を紐付けているのはカードではなく既に国民全員に割り振られている個人番号(マイナンバー)なので、カードを作らなくても意味はないのです。既に情報連携はされています。毎日、全国の自治体で情報を連携しています。カードを作らなくても、情報連携は止められませんし、あなたの個人番号だけが使われないということもないのです。カードを作るときにマイナンバーが作られるのではなく、既に存在するマイナンバーを記載したカードが作られるだけだからです。
そして、マイナンバーが漏洩するリスクも、個人からよりも行政機関からの方がよほど危ないです。厚生労働省の大規模漏洩などもありましたよね。とはいえ、マイナンバーだけでは何も分かりません。(情報連携も、マイナンバーそれ自体ではなく、マイナンバーに紐付いた情報を使って行っています。)
マイナンバーカードを作ることで個人情報が漏洩するリスクがあるとすれば、「マイナンバーカードにパスワードを書いた付箋などを貼って一緒に持ち歩いて落とした」などのケースです。こういうことをすると、マイナポータルなどから、あなたの情報が漏洩してしまいます。これは、「クレジットカードに暗証番号を書いた付箋を貼って一緒に持ち歩いて落とした」というケースと同じく、やってはいけないことですので、やめましょう。
マイナンバーカードは身分証明書として持ち歩くものではなく、電子署名、電子証明書用として、自宅(事務所)に保管しておくものだと思っておけば間違いありません。
持ち歩くのは、コンビニで住民票や印鑑証明をとったりするために使うときだけです。政府が勧める身分証明書や保険証としての利用はしないで、自宅(事務所)で大切にしまっておきましょう。これで安全です。
マイナンバーカードを作るときに気をつけること
マイナンバーカードは、なんとか普及させたいこともあって、行政としては珍しく、かなり親切に作り方の説明が用意されています。
マイナンバーカードの取得方法 | マイナポイントの取得・利用まで | マイナポイント事業 (soumu.go.jp)
交付申請書または個人番号通知書を持っているか、持っていない場合、個人番号は分かるかなど、事情に合わせて交付申請の方法から、受け取るときの必要書類まで書かれています。これに従って申請すれば大丈夫…と思いたいのですが、気をつけていただきたいことがございます。
それは、交付申請時の「電子証明書の発行希望有無」の選択です。
これは絶対に「有」にしてください。大事なのはマイナンバーではなく電子証明書です! これがないマイナンバーカードは単なるプラスチックの板です。電子証明書を取得してください!
割と大手のサイトでも青色申告控除のためのe-Taxによる電子申告の説明で、「電子申告にはマイナンバーが必要」などと書いてありますが、正確には電子申告のために必要なのは電子証明書です。(マイナンバーは電子じゃなくても必要です。)
大事なのは電子証明書なのに、マイナンバーカードにはこれに関する罠が用意されています。

これは郵送用申請書の見本ですが、⑨の欄を見てください。
「発行を希望しない電子証明書がある場合、□を黒く塗りつぶしてください。」とあります。
なぜ、そういう紛らわしいことをするのか…。
塗りつぶさないでください。この罠にはまらず、絶対に電子証明書を両方とも、署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書の両方を入手してください。お願いします。
郵送用だけでなく、他の申請方法でも注意書きをよくお読みいただいて、罠をかいくぐり、電子証明書を取得してください。
電子証明書には作った後にも罠があります。
それは転居や氏名の変更等があったときと、電子証明書の有効期間です。
転居や氏名の変更等があったとき
転居して住所を変更した場合も、氏名を変更した場合も、しれっと「電子証明書は失効します(ただし、マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書は失効しません)。」と書いてあります。
転居や氏名の変更等 | 公的個人認証サービス ポータルサイト (jpki.go.jp)
これはカードの住所・氏名の変更とは別に、転居先の市区町村の窓口で電子証明書の発行申請をしなければなりません。
カードの住所・氏名の変更を担当している窓口の方は、電子証明書には詳しくないことも多いので、自分から訊かないと案内してもらえません。必ず電子証明書の発行申請も行ってください。
電子証明書の有効期間
マイナンバーカードの有効期間は発行の日から10回目の誕生日までですが、署名用電子証明書・利用者証明書の有効期間は、発行の日から5回目の誕生日までです。なぜか、マイナンバーカード有効期間よりも短いので、忘れずに更新手続をしておきましょう。
更新手続は市区町村の窓口で有効期間満了日の3ヶ月前から行うことができます。
電子証明書の有効期間と失効 | 公的個人認証サービス ポータルサイト (jpki.go.jp)
最後に
取得したマイナンバーカードは、安全のために自宅(事務所)で大切に保管しておきましょう。
以上です。
