投稿日:2022年3月22日 | 最終更新日:2023年11月6日
事務をもっと楽に無駄なく片付けるためのコツとして、「整理しないファイリング方法」をご紹介します。
王道の方法とは違うため戸惑われるかもしれませんが、割り切ってみれば意外に問題は起きないものです。
気楽にやろうの精神で、どんどん事務を改善していきましょう。
見返さない書類の整理は無駄
事務の基本のように言われるファイリング。
事務処理系の書籍やサイトには、「請求書に番号を振ってバインダーに上辺をのり付けして整理しましょう」などと、丁寧な方法が解説されています。
ですが、請求書を見返すことはめったにないので(あるとしたら何かトラブルがあったときや税務調査が入ったときくらい)、そんな丁寧なことをするのは手間と時間の無駄です。もっと簡単な方法で最低限の整理で問題ありません。
大事な書類だけクリヤーブックにまとめる
ファイリングについて何より重要な事は「なくさないこと」です。
これさえ守れば、後はどうとでもなります。とにかく「なくさないこと」だけ心がければ大丈夫です。
絶対になくしてはいけない会社の根幹に関わる書類や、重要な情報の通知、重要な取引の契約書などは、一目で重要だと分かるように目立つ色のクリヤーブックなどに入れておきましょう。
会社の根幹に関わる書類の整理
定款や株主総会、社員総会の議事録等です。
これらの会社の根幹に関わる重要書類は、絶対になくさないようにまとめておきましょう。
認証された電子定款の原本はなくす人が多いそうです。「特にクラウド会計ソフトの定款作成サービスを利用した方が頻繁になくして、『そちらで持っていませんか』と問い合わせが来る」と公証役場などできいていますので、受け取ったらすぐにしまっておきましょう。
「法人管理・永年保存」、「会社設立関係・永年保存」など、分かりやすい名前をつけて、赤、黄色等、目立つ色のクリヤーブックに入れ、棚の上の方の段に置くことをおすすめします。棚の上の方の段、というのがなくさないために意外に有効です。
登録や申請の承認書類の整理
銀行口座の開設や健康保険の加入承認等、何かに申し込んで承認された書類は後で必要になることがありますので、これも「申請結果・永年保存」などの分かりやすい名前をつけたクリアファイルにまとめて保管しておきましょう。
できれば前項のファイルと同じ場所に置いておくことをおすすめします。大事なものはここにある!という場所が分かっていると安心です。
契約書類の整理
不動産関係の契約書や重要な契約の契約書、とにかく契約書と名のつくものも、「契約書」のファイルに入れて保管しておきましょう。
このファイルも、前2項と同じ大事なファイル保管場所に置いておきましょう。
電子契約の場合も、必ずダウンロードして分かりやすいフォルダに保存し、バックアップもとっておきます。
箱にフォルダを入れて投げ込み保存
見返す可能性は低く、保存期限が過ぎたら廃棄してよいものは、なくさないようにとっておくだけで十分です。
細かく整理しようとすると、面倒になって後でやろうと放置してしまい、結果として紛失してしまうようなことがありがちです。とにかくすぐに所定の場所にしまうことが大切です。
保管方法は、できるだけハードルを低く、かつ、適当でも書類が紛失しない方法がベストです。
ご提案は、保存文書箱にオープンフォルダを12ヶ月分入れて、月毎にフォルダの順序を入れ替える(当月分が一番手前に来るように、前月分を一番後ろに回す)です。
フォルダのタブには○月と書いておきます。 図解するとこんな感じです。


12枚入れ、月初に前月のフォルダを一番後ろに入れ直します。
ちなみに、12月のまとまりは暦年の1月~12月ではなく、貴社の会計年度です。
12ヶ月が過ぎるまでは蓋は開けておき、12ヶ月が終わったら蓋を閉じて保管場所へしまって、終了です。
箱には、入れてある書類の種類と保存期限を書いておきましょう。保存年限の異なるものを一緒に入れた場合は、必ず保存年限の長い方に合わせます。
ただし、マイナンバーが記載された書類は保存期間を超えて保存することはできません。
別に分けておき、法定の保存年限が過ぎたらすぐに廃棄してください。
文書の保存年限は細かく定められているので、厳密にやろうとすると大変です。
現実的には、
- 定款など重要なものは永年
- 決算書、総勘定元帳など金銭に関わるものは10年
- 株主総会議事録などは10年
- 人事・労務関係は3年(給与所得者の扶養控除等(異動)申告などは7年、採用関係の重要なものは5年)
- 補助金関係は5年(起点は補助金関係事務が完了した役所の年度の終わり)
- その他重要な書類は5年
くらい覚えておけば大丈夫です。不安な場合は書類名・保存年限で検索すれば出てきます。
廃棄は慎重に
保存期限が切れた文書は廃棄することになりますが、適当に捨ててはいけません。資源ゴミに出したりするのはもってのほかです。自社や顧客の大事な情報が含まれていて、漏洩してしまうかもしれません。
シュレッダーにかけたり、専門業者に依頼して溶解してもらう等の処理が必要です。 文書も大量になると安全に廃棄するために費用がかかりますが、廃棄文書から顧客情報や個人情報など重要な情報が流出したなどということにならないよう、気をつけてください。
