設立登記をする(合同会社編)



投稿日:2022年4月18日 | 最終更新日:2022年7月13日

会社の設立登記申請は、以前よりもかなり簡単にできるようになりました。

マイナンバーカードを持っているなら、自分で電子申請をすることもできます。一人会社については、法務局も自分で電子申請をする方法を推奨しています。

法務省:一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです! (moj.go.jp)

合同会社の場合は定款の認証も必要ないので、多くの方が思うよりも手軽に、あっというまに法人設立ができます。
ここでは、マイナンバーカードを利用した電子申請と、マイナンバーカードを利用しない書面での申請方法について、それぞれ解説します。


手続の流れ(共通)

合同会社を設立するための手続の流れは、次のようになります。

  1. 定款の作成 法人設立に必要な事項を決める(合同会社編)
  2. 法人印鑑の用意(書面申請の場合は必須)法人印鑑を用意する
  3. 出資(金銭・現物)の履行 資本金を振り込む
  4. 設立の登記申請 ←いまここ
  5. 会社の成立

用意しておくもの(共通)

それぞれ、電子申請の場合はPDFファイル化(電子署名がいるものは電子署名を付与)、書面申請の場合は印刷しておきます。

代表社員が法人であるときは、上記に加えて次の書面も必要です。

  • 当該法人の登記事項証明書(当該登記所の管轄区域内に当該法人の本店又は主たる事務所がある場合を除く。)
  • 職務執行者の選任に関する書面
  • 職務執行者の就任承諾書

社員に法人が含まれず、金銭以外の出資もない場合は、書面のセットを当サイトから無料でダウンロードしていただけます。 ⇒法人設立に必要な事項を決める(合同会社編)

PDFファイルに電子署名をする方法はこちらです。

無料で定款等に電子署名をする方法

共通の注意

特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書によって登録免許税の減免(半額になります。)を受ける場合は、登録免許税金額には「減免後の金額」を書きます。

例:資本金500万円の合同会社の場合、登録免許税6万円が減免により3万円になりますので、30,000円と書きます。

根拠条文は、合同会社の場合は「租税特別措置法第80条第2項第3号」です。

特定創業支援等事業を受けた証明書を取得する

電子申請をする書面で申請する

電子申請

電子申請の場合は、申請用総合ソフトを使う方法と、法人設立ワンストップサービスを利用する方法がありますが、今回は、申請用総合ソフトを利用する方法をご説明します。

理由は、法人設立ワンストップサービスの設立登記部分は、あまり利便性が良くないからです。事前に別のアプリを用いて電子署名をしておかなければならず、また、特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書の添付に対応していません。(法務局に問い合わせたところ、「別途郵送で送付」という回答を得ました。それでは全部郵送した方が簡単です。)


申請用総合ソフトを利用する準備

法務局が申請用総合ソフトに関する基礎知識を動画で紹介しています。

動画でわかるオンライン登記申請(事前準備編)

12分程度ですので、ご利用の場合はご覧いただければと思います。

申請用総合ソフトのダウンロードページはこちらです。

ソフトウェアのダウンロード | 登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと (moj.go.jp)


申請書情報の作成

ここからは、インストールした申請用総合ソフトを立ち上げて、実際の使い方を解説していきます。

法務省の解説ページ:申請書情報の作成

上記の法務省の解説ページの内容は少し古くなっていますので、補足します。

法務省のページでは、「申請様式一覧選択」画面で
商業登記申請書
 ↓
登記申請書
 ↓
登記申請書(会社用):株式会社,特例有限会社,合名会社,合資会社,合同会社,外国会社【署名要】
を選択します。

とありますが、現在は

商業登記申請書
 ↓
設立登記申請書」から

  1. <登記すべき事項作成支援・添付ファイルチェック貴機能付き>
  2. (定款認証同時申請用)<登記すべき事項作成支援・添付ファイルチェック機能付き>※株式会社のみ
  3. (電子証明書発行同時申請用)
  4. (電子証明書発行同時申請用)<登記すべき事項作成支援・添付ファイルチェック貴機能付き>
  5. (定款認証・電子証明書発行同時申請用)<登記すべき事項作成支援・添付ファイルチェック貴機能付き>※株式会社のみ

のいずれかを選びます。

今回は合同会社の設立ですので、1、3、4のいずれかになります。

今後、ファイル形式の電子証明書を利用する予定がないのであれば、1を選びます。
「何言ってるのか分からない」場合も、1を選びます。

参考:「登記所で発行している『会社・法人の代表者等に関する電子証明書』の発行申請方法について」

1のうちから、2種類ある「合同会社の設立」のうちから、該当する方を選びます。
ここでは「代表社員が法人でない場合、現物出資なし」を選んで解説します。

「選択」ボタンを押すか、申請様式名をダブルクリックすると、申請書作成画面が開きます。

下記画像の注意事項も確認しながら、必要項目を埋めてください。

「件名」は「商号+設立登記申請書」等で大丈夫です。

「氏名または法人団体名(全角カナ24文字以内)」は電子納付の際の振込名義です。一般的には、代表社員の氏名をカタカナで入力します。

登記すべき事項は「別紙表示」ボタンを押して、別画面から入力します。

別紙作成画面には、入力した商号や本店の情報が引き継がれています。

この画面で入力した情報は、申請書作成画面にも反映されます。

数字は(半角入力)と指定がある場合以外は、全角で入力します。

入力が終わったら「○終了」ボタンを押して保存します。

「登録免許税額」は、特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書によって登録免許税の減免(半額になります。)を受ける場合は、登録免許税金額には「減免後の金額」を書きます。

例:資本金500万円の合同会社の場合、登録免許税6万円が減免により3万円になりますので、30,000円と書きます。(資本金の額の1,000分の7(6万円に満たないときは、申請件数1件につき6万円))

No.7191 登録免許税の税額表|国税庁 (nta.go.jp)

根拠条文は、合同会社の場合は「租税特別措置法第80条第2項第3号」です。

特定創業支援等事業を受けた証明書を取得する

念のため、「課税標準金額」は「資本金の額」です。

「印鑑届出の有無」は印鑑を用意してあるなら「有」にします。
印鑑届出書も用意しておきましょう。

法務省:オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記) (moj.go.jp)

「申請人」欄は別紙表示画面で入力したものが転記されています。

「申請先登記所選択」は、本店所在地の管轄登記所を選択します。

「委任状の作成」は、本人申請の場合は不要です。

全て入力が終わったら、入力内容のチェックをします。

ここでエラーがあると、エラー内容が表示されます。

エラーを修正したら、もう一度チェックします。 エラーが全てなくなったら、OKです。

完了」ボタンを押して、作成した内容を保存します。


ファイルの添付

法務省の解説ページ:添付書面情報の添付

「商業・法人」タブを選ぶと作成した申請書が表示されますので、選択し、「ファイル添付」ボタンを押します。

ファイル添付画面が開きます。

ここから、用意しておいたPDFファイルを添付していきます。

添付が終わったら保存します。


申請書への電子署名

次は作成した申請書に電子署名を付与します。

法務省の解説ページ: 電子署名の付与

「署名付与」を押します。

マイナンバーカードで電子署名をする場合は、「ICカードで署名」です。

マイナンバーカードをカードリーダーにセットして「OK」ボタンを押します。

マイナンバーカードの「電子署名用のパスワード」を入力してください。

「確定」を押すと電子署名ができます。


申請データの送信

電子署名をした申請書類一式を法務局へ送信します。

法務省の解説ページ:申請データの送信

「申請データ送信」を押します。

送信対象をチェックし、「送信」を押します。


到達~手続完了

  1. 到達
    • 申請データが登記・供託オンライン申請システムに到達すると、申請番号、到達日時などを確認することができるようになります。
    • 法務省の解説ページ:到達のお知らせ
  2. 受付確認
    • 登記・供託オンライン申請システムに登録された申請データが申請先登記所で受付されると、受付番号、受付日時などを確認することができるようになります。
    • 法務省の解説ページ:受付のお知らせ
  3. 補正
    • 申請書情報及び添付書面情報に不備がある場合には、登記所から補正のお知らせが送信され、「処理状況表示」画面の「補正」ボタンが表示されます。
    • 補正がある場合には補正書を作成します。
    • 対象の申請書情報を選択し、「補正」ボタンをクリックすると、補正書作成用の「申請書作成・編集」画面が表示されます。
    • 法務省の解説ページ:補正のお知らせ
  4. 納付
    • 「納付」ボタンが表示されたら、電子納付を行うことができます。
    • 「納付」ボタンを押すと「電子納付」画面が開きます。電子納付を行う納付情報の「納付」ボタンをクリックします。
    • 電子納付を行うWebページが表示されますので、画面の指示に従い、電子納付を行います。
    • 法務省の解説ページ:納付のお知らせ・登録免許税の納付
  • 手続完了

登記が完了すると、「処理状況表示」画面の「処理状況」欄に「手続終了」と表示されます。

法務省の解説ページ:手続終了

書面で申請

用意しておくもの(書面申請)

「用意しておくもの(共通)」の書類の他に、次の書類を用意します。

  • 合同会社設立登記申請書(当サイトのセットに入っています。)
  • 代表社員の印鑑証明書

※代表社員の実印の印鑑登録がない場合は、印鑑登録が必要です。印鑑登録については、お住まいの市区町村で申請できます。

ここで気をつけていただきたいのは、定款を電子定款にしないと、定款に印紙税4万円が必要になることです。

書面申請の場合でも、定款には電子署名をして電子定款にし、DVD-R、CD-Rなどのメディアに保存してものを提出しましょう。


登録免許税の納付について

書類が全て揃いましたら、合同会社設立登記申請書に登録免許税額分の収入印紙を貼ってください。収入印紙は郵便局等で買えます。

合同会社の設立登記の登録免許税額は、資本金の額に1000分の7を乗じた金額です。ただし、これによって計算した税額が6万円に満たないときは,申請件数1件につき6万円です(登録免許税法別表第1第24号(1)ハ)。

(再)ただし!、前述の「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」があれば半額になります。最少額で3万円です。

「登録免許税額」は、特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書によって登録免許税の減免(半額になります。)を受ける場合は、登録免許税金額には「減免後の金額」を書きます。

例:資本金500万円の合同会社の場合、登録免許税6万円が減免により3万円になりますので、30,000円と書きます。(資本金の額の1,000分の7(6万円に満たないときは、申請件数1件につき6万円))

No.7191 登録免許税の税額表|国税庁 (nta.go.jp)

根拠条文は、合同会社の場合は「租税特別措置法第80条第2項第3号」です。

特定創業支援等事業を受けた証明書を取得する


書類の提出

収入印紙を貼ったら、全ての書類と電子定款を保存したDVD-R等のメディアを、合同会社の本店の所在地を管轄する登記所に提出します。

管轄のご案内:法務局 (moj.go.jp)

これで書面による申請は終了です。

くれぐれも、「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書をせっかく取得したのに提出し忘れた」ということのないようお気をつけください。