投稿日:2022年1月19日 | 最終更新日:2022年7月13日
何をするときでも、「これは本当に必要か?」、「もっと簡単な方法はないか?」を考えることは大切です。
仕事というのは、意識して無駄を省こうとしていかないと、どんどん拡大・複雑化するものです。エントロピー増大の法則です。
組織が大きくなるほど、無駄な仕事が増えた方が得をする人が増えます。ですので最初のうちに、できるだけ無駄のない業務フローを確立していくように意識しておくと、後からじわじわと効いてきます。
多くの場合、人件費は最大の固定費になるので、少しでも人件費を増やさない方向で組織を作っていくことが大切です。
「無駄な仕事が増えた方が得をする人なんているの?」と思った方のために、念のため書いておきます。
残業時間のつく従業員は
- 休憩
- 手順の多い繰り返し仕事
- お使い
が大好きです。考えてみれば当然です。
休憩は言うまでもありませんが、「手順の多い繰り返し仕事」は面倒くさくて時間がかかるけれど、「繰り返し」なので覚えてしまえば難しいことはありませんし、簡単だけど時間がかかる仕事は、残業代がもらえるなら大歓迎の仕事です。面倒臭くて時間がかかる仕事は、休憩の大義名分にももってこいです。
さらに、「役所や銀行へ行く」などの「お使い」が絡めば最高です。
お使いは羽を伸ばせる絶好の機会です。できるだけ早く用事を済ませて帰ってこようと思う人は、用水路にいるオオサンショウウオくらい希少だと思っておいてください。ですので、従業員は「電子申請」や「インターネットバンキング」が嫌いです。加えて「変化」も大嫌いです。
最初から
- 必要最小限の手順
- 電子申請
- インターネットバンキング
を守って、業務フローを作っておきましょう。
どの会社にも必要な基本的な事務については、当サイトでも「思いつく限りで最小の手数で、原則として電子申請とインターネットバンキングを利用した手順」をご紹介しています。
ですが、業種やその仕事に特有の処理などは、必要に応じて考えていくしかありません。
抽象的なことばかりではピンときませんので、具体例を挙げて、考え方の練習をご紹介します。
練習「猫のカリカリフードを簡単に区別するには?」
例題として、「猫に同じ種類で味が違うカリカリを、間違えずに交互にあげるために袋を区別する方法」を考えます。

前提条件
- カリカリはチキン味と白身魚味
- 外袋にはチキンと白身魚が描いてある
- 外袋は小分けの内袋5袋入り
- 外袋のままでは引き出しに入らない
- 引き出しに入れておかないと猫が開けてしまう
- 内袋も外袋もジッパーなし
- 内袋の色はシルバー
手元にあるもの
- 輪ゴム
- 黒マジック
- 白いラベルシール
回答案
練習問題として出されると引っかけだと気づく方も多いと思いますが、現実にやると一番多い回答は、
白いラベルシールに「チキン」「白身魚」と書いて、それぞれの袋に貼る
です。
そんなことをする必要はありません。そんなことをしていると無駄無駄~の人がやってきてしまいます。
一度きりの作業についても、毎日の作業についても無駄を作っていて、無駄無駄(以下略)です。
なぜ無駄が多いのでしょうか?
- 一度:白いラベルシールに文字を書く手間が無駄(書く必要がない)
- 毎日:白いラベルの文字を読む手間が無駄(読む必要がない)
袋は2種類なのだから、どちらかにマークを付ければよいはずです。
しかも一方は「白身魚味」ですから、白いシールを貼っておけばわかりやすい目印になります。
言われればすぐにわかることですが、いわれないと、ラベルシールに文字を書いてしまう方が圧倒的に多いのです。
もっと楽になる方法を考える
この回答案には欠点があります。
それは、「前回何味をあげたか覚えておかなければいけない」ことと、「いちいち輪ゴムで止めなければいけない」ことです。
これはアイテムを買い足すことができれば解決します。
例えば
- 色が違う密封容器に内袋を入れてどちらがどちらかわかるようにしておく(蓋が白い方が白身魚等)※
- あげたら、容器の場所を替える(あげた方を奥に回す等)
※輪ゴムで止めるより面倒にならないように、締めるのが楽な容器を選びましょう。
こうすれば、どちらをあげたか覚えておく必要も、輪ゴムで止める必要もありません。
最初に多少の出費は必要ですが、その後の省力化は大きくなります。
業務フローを考えるときは、この記事のことを思い出していただけると嬉しいです。
