投稿日:2022年4月9日 | 最終更新日:2023年11月6日
商品名・サービス名の候補を考える

承継でなく創業で事業をはじめるなら、商品名や会社名、屋号について避けて通ることはできません。承継でも、心機一転、変更することもあり得ます。
ネーミングを考える時には、「誰に刺さって欲しいのか」と「どういうイメージを持ってもらいたいのか」を念頭に置いておきましょう。
誰に刺さって欲しいのか
商品のターゲット、「買ってくれる人」もしくは「使う人」です。通常は「買ってくれる人」に刺さるネーミングが大事ですが、子供向け商品やサービスなどの場合は、子供受けするネーミングの方がいい場合もあります。例えばお菓子やゲームなどです。
子供が覚えられない名前のお菓子は、おねだりしてもらえませんよね。
反対に大人向けの高価なチョコレートに「どうぶつチョコ」などの名前がついていたら、手に取ってはもらえないでしょう。
どういうイメージを持ってもらいたいのか
「対象者に刺さって欲しい」というだけで十分ではないかと思われるかもしれませんが、対象が同じでもイメージの違いはあります。
例えば小林製薬と大正製薬の尿漏れ用の薬のネーミングを見てください。
小林製薬:モレナクト
大正製薬:ハルンケア
これだけでもイメージの違いの意味はおわかりいただけるかと思います。小林製薬様は独特過ぎて別枠だと思われるかもしれませんが、「独特過ぎて別枠」を確立しているのがものすごいところです。
対象者に刺さるという部分からイメージは自ずと決まることもありますが、モレナクトもハルンケアも対象者は同じ「尿漏れに悩む人」です。対象者の中でもどういう人に手に取りやすいネーミングにするのか、自社のイメージをどうしていきたいのか考える必要があります。
同じドッグフードを売るとして、「太郎君の元気ゴハン」と「エリザベスの輝きサポート」のイメージの違いを考えてみてください。


特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で候補名を検索する

「これにしよう!」というネーミング候補が決まったら、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)でその名前が登録されているか、登録されているとしたらどういう商品やサービスに登録されているのか、調べてみましょう。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)は、無料で特許情報の検索・閲覧ができるサービスです。
「我が国のみならず欧米等も含む世界の特許・実用新案、意匠、商標、審決に関する公報情報、手続や審査経過等の法的状態(リーガルステイタス)に関する情報等」が収録されています。 せっかくいいネーミングでも、他社が既に同類の商品やサービスで商標登録していたら、その名前は使えません。ですので、商標登録されていないか調べる必要があるのです。
商標について詳しく知りたいときはこちら↓
商標登録を調べるときはこちら↓
とりあえず知財総合支援窓口に相談する場合はこちら↓
各SNSで候補名を検索する

商標登録されていないことが確認できたら、その名前を検索してみましょう。商標登録されていなくても、使われていることはあるはずです。類似の商品・サービスで使われているのを見つけたら、別の候補にしておいた方が無難です。
検索エンジンで確認した後は、SNSでも検索してみることをおすすめします。
ユーザー名として使えるかだけでなく、その単語で検索して何が出てくるかを確かめます。悪いイメージで使われていないか、何かで炎上していないかなどは確認しておいた方が安全です。
検索した単語がイメージ的にも問題なく、ユーザー名でも使えるのでしたら、すぐにユーザー名としてアカウントを作っておくことをおすすめします。早い者勝ちですので、タダで押さえられるものは早く押さえておくことが正解です。これはドメイン名も同じです。
法人名・屋号・店名を考える
法人名・屋号・店名についても、基本的な考え方は商品名・サービス名と同じです。
主力商品・サービス名が決まっているなら、法人名等はそれと同じでも問題ありません。むしろ、覚えてもらいやすくて良いでしょう。
国税庁法人番号公表サイトで候補名を検索する
法人名については、同一の住所(所在地)で同一名称の会社は設立できません。昔は同じ市区町村内で同一または類似の会社名での設立登記はできなかったので、緩和されたことになります。以前同一商圏内で同一(類似)の会社名が使えなかったのは不正な競争を防ぐ趣旨でしたので、現在でも不正競争防止法で問題となる場合はあります。
ですので、同業種、類似業種で既に使われている会社名は避けた方が無難です。以前は法務局で商業登記簿を調べる必要がありましたが、今はオンラインでも検索出来ます。
法務省:オンライン登記情報検索サービスを利用した商号調査について (moj.go.jp)
法務局に行かなくてもオンラインで検索できるという点では楽なのですが、「登記・供託オンライン申請システム」に申請者情報を登録して、ログインに必要な「申請者ID」と「パスワード」を取得するなど、多少の手間がかかります。
そこで、もっと簡便に「国税庁法人番号公表サイト」で法人名を検索するという方法もご提案します。
このサイトでは、法人番号の指定を受けた者の
- 商号又は名称
- 本店又は主たる事務所の所在地
- 法人番号
という基本3情報を公表しています。
「商号又は名称」と「本店または主たる事務所の所在地」が分かりますので、通常はこれで十分です。しかも、新たに設立登記された法人の情報は、原則、設立登記完了日の16時又は翌稼働日の11時に公表されます。スピードも問題ありません。まずはここで検索しておけば問題ないでしょう。
ドメイン名がとれるか検索する
商品名・サービス名、法人名・屋号が決まったら、ドメイン名がとれるか調べて、とれるならとっておきます。ドメイン名は早い者勝ちです。日本の法人であることを表す「co.jp」でも、法人化前に予約登録ができます。

ドメイン名とは簡単に言うと、インターネット上の住所urlに使う名前です。
きちんとした定義を知りたい方はこちらをご参考にしてください。↓
ドメイン名を決めるときは次のことを覚えておきましょう。
- できるだけ短く
- 覚えやすく
- 入力しやすく
- 会社名又は主要商品・サービス名と同じで
- 信頼感のあるトップレベルドメイン(.comやco.jp)であること
候補が決まりましたら、お名前.comやゴンベエドメインなどで、候補名のドメインは取得できるか、費用はいくらかかるかを調べましょう。
お値段はそれぞれ違いますので、ドメインが取得できることが分かったら、どこの会社で取得するか決めましょう。後で移管もできますので(制限があることもあります)、それほど深刻に考えることはありません。
ドメインを取得した会社(サービス)でサーバーを契約しなければならないということはありませんが、お得なセット価格がある場合もありますので、どこのレンタルサーバーまたはウェブサイト開設サービス、メールサービスを選ぶか決めてから契約するのも良い方法です。
ただし、ドメインの取得・維持費用とレンタルサーバーの費用またはホームページ制作サービスやメールサービスなど、どれを選ぶか最初からビシッと決められることはまれです。
とはいえ、迷っているとドメインが他に取られてしまう可能性もあるので、難しいところです。
「コレしかない!」というドメイン名が決まって、取得できるなら、その時点でとってしまうのが正解です。逃したドメインは戻ってきません。
イメージカラーを考える

名前を決めたら、イメージカラーも決めておきましょう。
色のイメージ、色から想起されるメッセージは、意外に重要です。
例えば、水色から想起されるイメージは何か? オレンジが与える印象は何か?
反対側から、金融でよく使われている色は何か? 美容系でよく使われている色は何か?
ピンと来ない場合は、下記ページなどをご一読いただけると良いと思います。
カラーイメージを味方につける | 色彩関連情報 | DICカラーデザイン株式会社 (dic-color.com)
配色を考える時には、Color Huntなども参考になります。
ロゴのイメージを考える

色の次は形です。目に見えるものは「百聞は一見にしかず」というほど重要ですので、こちらも利用していきましょう。
色と同じく、形の持つイメージもあります。
色もそうですが、形にも形状のもつ意味、お約束などがあります。「家紋」「紋章」などについて思い起こしていただければイメージが分かるかと思います。
単純なものとして、○・△・□でも、それぞれの喚起させるイメージは異なりますし、表す意味も違います。
自分でロゴを作る場合は、何をモチーフにどういうイメージで作るか、ロゴデザイン関係の書籍なども参考にしてみてください。
他者に頼む場合でも、このあたりのこと(色や形について)を考えておくと、デザイナーの方とのお話も上手くいく可能性が上がります。
ロゴの作成方法を決める
自分で作る
一から自分で描く
デザイン関係のスキルがある方、絵心のある方におすすめ
- メリット
- 費用が安く済む
- 自分のイメージをそのまま形にできる
- デメリット
- 客観的な視点に欠ける
ロゴデザインサービスを利用する
費用はかけられないがデザインスキルもない方にお勧め
Logo Design • Create a Logo – The Custom Logo Designer | LogoGarden
無料のロゴを作成します。 – Online Logo Maker
- メリット
- 早く、安く(無料)ロゴが手に入る
- デメリット
- 基本的に商標登録はできない
- 使える場面に制限がある場合もある
デザイナー(会社)に依頼する
長く使う良質なロゴを求める方におすすめ
- メリット
- クオリティの高いロゴが手に入る
- 商標登録などのサポートをしてもらえる場合もある
- デメリット
- 費用が高い
それほど高い費用はかけられないけど、人に頼みたいという場合は、クラウドソーシングで探してみるという方法もあります。
商標登録をする
商品名・サービス名、ロゴなどは、商標登録をしておくと安心です。
商標制度の概要 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
商標登録は特許出願などと違って簡単なので自分でもできますが、弁理士事務所にお願いしても費用はさほど変わらないことが多いので(事務所によってはお得なプランがあることも)、今後何度も商標登録をする予定がないならば、お願いしてしまった方が費用対効果は高いでしょう。
自分でやる場合は、INPIT知財総合支援窓口でも支援してもらえます。
※商品名・サービス名やロゴが固まらないうち(変更の可能性があるうち)は、あえて商標登録できないフリー素材などを利用しておくのも一つの方法です。
⇒ SNSを運用する
