投稿日:2022年4月12日 | 最終更新日:2022年7月13日
先に法人基本情報シートをダウンロードされて、読みながら項目を埋めていくのもおすすめです。
各項目について、法人基本情報シートの該当欄をお示ししておきます。

商号(会社名)

商号、つまり会社名を決めます。
具体的な決め方については、別記事の『ブランデング事始め「ネーミングやロゴデザインを考える」』をお読みください。
- 商品名・サービス名の候補を考える
- 誰に刺さって欲しいのか
- どういうイメージを持ってもらいたいのか
- 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で候補名を検索する
- 各SNSで候補名を検索する
- 法人名・屋号・店名を考える
- 国税庁法人番号公表サイトで候補名を検索する
本店所在地

具体的な決め方については、別記事の「店舗・事務所を決める」の候補地を決めるの項目と「創業支援を受ける」の起業(開業)予定地域を決めるの項目をお読みください。
ちなみに、定款に記載するのは本店所在地の最小行政単位(市区町村)までが一般的です。そうしておくと、同じ市区町村内で本店所在地を移しても、定款を変更する必要がないからです。
事業目的

これは必ずやる事業と、将来やるかもしれない事業を決めます。
将来やるからといって、相互に関連性のないものをいくつも書くのは不自然ですので避けましょう。
5~10程度が適当です。
事業目的の書き方を調べたいときは、下記のサイトが簡単に検索出来ておすすめです。
会社定款目的記載例検索サイト;イー目的ドットコム (e-mokuteki.com)
最後には必ず
前各号に附帯または関連する一切の事業
を入れておきましょう。
資本金の額

「1,000万円未満(999万円以下)で、3~6ヶ月程度の運転資金がまかなえる額」が起業時の相場です。
ただし、事業によっては資本金の額により許可が受けられないことがありますので、必ず事前に確認してください。例えば、人材派遣業の場合は、2,000万円以上の資本金が必要です。
参考:労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル- |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
資本金1,000万円未満(999万円以下)に押さえることで、次のメリットがあります。
- 消費税の免税事業者となる(2年間)
- 法人住民税の均等割が安くなる(1,000万円以上18万円、1,000万円未満7万円)
あまりに安すぎると信用が低くなりますし、運転資金も足りなくなりますので、上記の金額を目安に決めてください。
資本金は使ってはいけないお金ではありません。起業後は、自由に運転資金や設備投資などに使えるお金です。
発行済株式の総数

資本金の額を株式の1株の価額(単価)で割った数です。
資本金100万円で1株の価額(単価)が1万円の場合は100株
設立時の1株の価額(単価)は自由に決められますので、計算しやすい額(1万円や10万円)にするのが一般的です。
株式の譲渡制限に関する規定
何も制限をつけていなければ、会社の株式は自由に譲渡することができます。
ですが、一般的な中小企業において、会社と関係のない第三者が知らないうちに株式を取得していたら、大変なことになってしまいます。
そのような事態を防ぐために、株式を譲渡するには会社の許可がいるという規定を設けることを「株式の譲渡制限」といいます。
具体的には定款に次のような条項を加えます。
「当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を受けなければならない。」
定款で株式の譲渡制限を定めた会社は、役員の任期を10年に延長することができます(通常は取締役2年、監査役4年)。多くの中小企業では、株式の譲渡制限を定め、役員の任期も10年に延長しています。
発行可能株式総数

株式の譲渡制限を設けている会社では、発行可能株式総数に制限はありません。
譲渡制限のない会社では、発行済み株式の総数の4倍までとなります。
決算期

事業年度は1年以内と定められていますので、設立から1年以内の末日とします。
ただし、繁忙期が決まっている業種の場合、繁忙期を避けることが一般的です。決算期から2ヶ月以内に決算を行い、税務申告をしなければならないからです。
また、消費税の免税事業者の時期を延ばすために決算期を調整することもあります。
資本金が1,000万円未満の会社は、設立第1期は消費税を納める必要がありません。第2期については、設立から6ヶ月間の売上と給与の支払額のいずれかが1,000万円以下であれば、消費税を納める必要はありません。
ただし、いずれも1,000万円を超えても、第1期が7ヶ月以下であれば、この場合も第2期も消費税を納める必要はありません。このため、設立第1期(初年度)の売上又は給与の支払が1,000万円を超えることが予想されている場合は、第1期を7ヶ月以下とする方がお得になるというわけです。
発起人

発起人とは、会社の設立時に資本金を出資する人です。発起人は1人でも問題ありません。発起人が「株主」となります。
ですので、自分だけでなく家族や友人・知人に出資してもらうにしても、できるだけ人数は少ない方が設立手続もその後の運営も楽です。
設立時役員
当サイトは小規模な会社を基本としていますので、一般的には発起人=役員となります。
必ず必要な役員は取締役です。取締役は1人以上必要です。つまり1人でも問題ありません。取締役が1人の場合は、自動的に代表取締役になります。
取締役会
取締役会を置くかどうかは、任意です。取締役会は取締役3人以上から構成されますので、少なくとも3人以上の取締役がいなければ設置できません。
また、取締役会を設置する場合は、監査役も置かなければなりませんので、少なくとも4人の役員が必要になります。小規模な会社の場合は、取締役会は設置しない(できない)と考えて問題ありません。
公告をする方法

- 官報に掲載してする
- 日刊紙に掲載してする(全国紙、地方紙を問わない)
- 電子公告とする(ウェブサイトで広告する)
上記のいずれかの方法をとりますが、一般的には「官報に掲載してする」を選択します。
日刊紙に掲載する場合は少なくとも50万円はかかりますし、ウェブサイトで公告する場合は、決算公告については5年以上決算書の全てを公開し続けなければならず、決算広告以外は電子公告調査機関への調査の委託をしなければならない(これも数十万円以上かかります)ので、負担が大きく、小規模企業にとっては現実的ではないからです。
これだけ決まれば、法人の設立のために必要な情報は揃いました。
法人基本情報シート等のダウンロードはこちら
(Excel及びWordファイル。上記の内容を法人基本情報シート(Excel)に入力すると、設立登記に必要な書類一式(Word差込印刷設定済み)ができあがります。)
